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狼.陛下の花.嫁の二次創作です
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七夕企画にて
2015年11月15日 (日) | 編集 |

これはSNSサイトでの企画に参加した時のSSです。
七夕になぞらえていくつかのキーワードの中から選んでお話にするというものでした。
何にしようか悩んだのですが、選んだキーワードは【羽衣】です。

【本物夫婦設定】
【天女の羽衣伝説が白陽国にもあった設定】
【陛下の両親に関して捏造があります】
【長いです!】



「お妃様、この度の隣国の大使を招いた宴ですが、お衣装はどういたしましょう?」
「そうね、新調することはないですから後宮に保管してある衣装の中から選びましょう」

侍女達は夕鈴の宴の衣装をどれにしようかとやたら張り切っている。
普段地味な装いしかしない夕鈴にここぞとばかり飾り立てようと後宮衣装保管庫からあれやこれや引っ張り出しては着せ替え人形よろしく次から次へと見立てていた。

ここ、後宮衣装保管庫には歴代の妃達の衣装が多数保管されている。
一度袖を通したものは着ないという主義であったため、ほとんど新品同様、中には仕立てたものの、違う妃と色が被っただのあの妃よりも最先端のデザインにしたいだのと、作った衣装を一度も着ないで別に作ったりした例も多数あることから新品のままの衣装も多い。

(もったいない!)
常々夕鈴はそう言って、出来るだけ新調せず、その中から選んで着るようにしていた。

色の重ね一つで見た感じが全く違うものになるので、ここは侍女の腕の見せ所と付き従っている侍女達もやりがいがあるらしく、半日かけて選んでいた。

立ちっぱなしでいた夕鈴はさすがに疲労が隠せず、貧血になりかけていたが
ふとあるものが目に入った。

「これ…すごくきれい!」
「まぁ、お妃様、どこで見つけたのですか?私共も初めて見ました。」
「そこの箱の一番下に入っていたの。確かに、隠すようにひっそりと入れられている感じだったけど」

それは薄い花の透かし模様が入った羽衣だった。
しかも見る角度によって色が変わって見える、七色の光沢のある生地で出来ていて、普段衣装にはあまり関心のない夕鈴も思わず目を奪われた。

「お妃様!それは・・・・・・」

「女官長さん、何か?」
「あ、いえ。なんでもありません。」

何か言いかけた女官長だったがはっと口をつぐみ、それ以上は話そうとせず、話題を変えてしまった。

「さぁさぁ、朝からずっとではお妃様が倒れてしまいますよ。
後は私達で選びましょう。お妃様は昼餉の支度が出来ております。
陛下もお越しになられるでしょうから、どうぞあちらへ」

(一体何かしら?何か知っているようだけど・・・)



その日は天気もよく、外の四阿での昼食となった。

「夕鈴、気に入った衣装はあった?
僕は新調してもいいと思うんだけど。今回は外交も兼ねてるし、
思い切って新調しない?」

「なんてもったいない!どれも素敵なんですよ。
全然袖を通してないものばかりで。私には十分すぎます。」
「ほんとに夕鈴はまじめだなぁ。少しくらい甘えてくれてもいいのに」

しょぼんと小犬の表情の黎翔を見た夕鈴は慌てて言った。

「あ、あの、とっても素敵な羽衣があったんです。
どなたのものかわからないんですが、あんなの羽織ったら素敵だなぁと思いました」

「羽衣?」

「ええ。七色に光ってすごくきれいなんです。
天女みたいで。でも私には似合わないかな」

「・・・・・・・・・・・・・・」
「陛下?」
「あ、いやなんでもない。」
「?」


**********************

その夜、なんか気になった夕鈴は女官長を自室に呼び、
羽衣のことを聞いてみた。
中々話そうとしなかった女官長だったが
夕鈴を見ると仕方なさそうに話し出してくれた。

「あの羽衣は、陛下の母君のものです。」
「陛下の?」

「はい。陛下の母君が先々王に初めてお会いした宴で
身に着けていた羽衣です。
すでに舞姫としての名声が高かった母君は陛下の御前で舞うのに失礼のないようにと精一杯の装いをして、それはそれは美しいものでした。
身に着けていた衣装の中でもあの羽衣は
舞姫様の舞があって更に輝いて見えたものです。
それが、陛下に見初められて後宮入りしてからというもの、
お気に入りだったはずの羽衣を身につけることはなくなって
どうしたのかと皆で話していたのを覚えています。
それが、なぜあんなところに。」

確かに、まるで隠すように衣装箱の下に入れてあった。
後で女官長に確認したところ、
その箱に入れあった他の衣装は陛下のお母様のものではなかったという。

政務を終えて帰ってきた黎翔に、思い切って夕鈴は尋ねることにした。



「あの羽衣はね・・・。」

真剣なまなざしになった黎翔は、何度も言いよどみ、
困ったような顔をしていたが、意を決して話し出した。

「母が初めて父の前で舞を舞ったときのものっていう話は聞いたと思うけど・・・その出し物が『天女の羽衣』だったんだ。

知っているかと思うけど、古い言い伝えで
地上に降り立った天女があまりに美しく、自分のそばから帰したくなかった人間の男が羽衣を取り上げて天界に帰さず、
天女を妻にしてしまったという話ね。

父はその伝説の通りに母を愛してしまった。
それでね、その羽衣を取り上げて隠してしまったんだ。
・・・母は天女じゃないのにね・・」
クスッと困ったように笑う。

「父としては羽衣を返したら母がどこかへ行ってしまうんじゃないかと思っていたらしい。
実際後宮は妃達の争いも多く、身分の低い母にとって
居心地のいい場所とは言えなかったから」

「陛下・・・・」

「ねぇ、夕鈴。僕は今でも君を妃にしてよかったのか。
もしかしたら君は陽の当たる場所で君らしく生きて行ったほうがよかったんじゃないかって葛藤することがある。

母の羽衣を取り上げて隠してしまった父に対して
幼い頃の僕は理解が出来ず、なぜ母を悲しませるようなことをするのかって思っていたんだけどね。
君を娶ってから、そんな父の思いが少しずつわかるようになった。

・・・夕鈴、ほんとは君は羽ばたきたいんじゃない?」

「陛下・・・私、陛下のお嫁さんになるって決めた時、
覚悟をしたって話はしましたよね。
それって、下町を捨てるとか家族に会うのを諦めるとか
そういう覚悟じゃないです!
あなたの傍で一生あなたを支えて生きる覚悟です!」

「夕鈴・・・!」

「陛下、私の帰る場所はいつだってあなたの元ですよ」

「・・・ありがとう。夕鈴」

**********************

後日の宴に夕鈴はその羽衣を羽織って出席した。
いつもと違って髪を結い上げ、胸元を大きく広げた衣装の首元にはきらめく翡翠の首飾り。
そして七色に光る羽衣はわずかに透け、
少女のような清楚さと人妻の艶を同居させた夕鈴の姿を更に魅力的に引き立たせていた。
それは隣国の大使に後に「白陽国には天女がいる」と言わしめたとか。

・・・・・・・・・・
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