< body>
狼.陛下の花.嫁の二次創作です
あなたに会いたくて 後編
2016年02月07日 (日) | 編集 |
こんにちは。
昨日のお話の続きです。
続きをどうしようと思いましたが、陛下がベコベコになる話がいいとのことでしたのでその方向でお話を考えました。


すっごく長くなってしまいました。
それでもよければどうぞ。



**********************************


「お妃よ。最近陛下とはどうなんじゃ。ラブラブしてるか?」

「な!何を言ってるんですか、老師。
陛下はここの所忙しくて後宮に戻ってこられない日が続いているんですよ。
お仕事をしっかりしているんですから私のことなんて構う暇はないでしょう。」

「・・・それでいいのかのう。ここは一つ『寂しい』って甘えてみてはどうか?
きっと陛下はお喜びになって後宮にこもりっきりになるぞい」

「ダメですよ!お仕事を放り出してそんなことをするなんて。
大体、世継ぎなんてまだ早いです。」

「お前さん、世継ぎは欲しくないのか?」

「えっ!?そ、それはその・・・とにかく、今はそんな時じゃないんです!」


寂しい気持ちに蓋をするように日中は老師のところに来てお茶をしたり
今まで以上にせわしなく過ごすことにした夕鈴だが、老師に会うとすぐにラブラブするようにとけしかけてくるのはどうにも耐えられない。

かといって紅珠を呼んでお茶をしても壮大な愛の物語について語られてしまうので
それも参ってしまうのだが。それでも表面上はなんでもないフリをして楽しくおしゃべりに花を咲かせるようにした。



「最近、夕鈴の様子はどうか?」

「うん、じっちゃんのところにお菓子作ってもってきてくれたり
氾の嬢ちゃんを呼んだりして結構楽しそうに過ごしてるよ。」

「楽しそう?・・・そうか。」

夕鈴が楽しそうに過ごしていると聞いて安心はしたのだが
もしかして自分に会えなくて寂しく思ってたりするのかなと期待していた分、ちょっと残念に思ってしまった。

「うん?お菓子?浩大、お前は夕鈴の手作りのお菓子を食べたのか?」

「え?食べたけど」

僕は食べてない。前はよく持ってきてくれたのに・・・
本物にしてから誰にも夕鈴を見せたくなくて政務室への出入りを禁止したからこっちに持ってきてくれることもなくなったのか・・・。

自分が後宮に帰れなくなってしまったからなのだが
なんとなく不愉快になり、浩大に小刀を投げつけ引き続き様子を見るよう伝えた。

そうして数日後、李順の目を盗み、夕鈴がいるという立ち入り禁止区域に足を運んでみた。
そこでは老師や浩大と楽しそうにおしゃべりをしている夕鈴がいた。

「お妃ちゃん、これ美味い!この間の菓子もよかったけどこれも美味いよ。」

「そう、よかった!今日は杏子を使ってみたの。この前紅珠からたくさんいただいたから」

また新しい菓子を作ってきたらしい。
それに話の様子では何度か作って食べさせているらしい。
僕は一つも食べてないのに。

なんとなく中に入っていけずに扉の外で様子を伺っていた陛下は続いて衝撃的な言葉を聞いてしまう。


「お妃ちゃん、これ陛下に持って行ってあげないの?
『最近会えなくて寂しかった』とか言って持っていったら喜ぶと思うなぁ」

「な、また変なこと言わないでよ。これは陛下にはあげられないわよ。
それに陛下に会えなくて寂しいなんて、そんなことあるわけないでしょ」


それを聞いた陛下はガツンと頭を叩かれたような感じでフラフラ政務室に戻っていった。

「おや、陛下。お早いお戻りですね。
いなくなったのでまたお妃さまのところへ行ったものだとばかり。
まぁ戻ってきてくれたのはいいことです。
また新たな被害報告が参りました。
またしばらくは後宮に戻ることは出来ないと思ってください」

「・・・構わん。どうせしばらく戻らなくても夕鈴は元気にやっているようだしな」

「・・・陛下?お妃さまと何かありましたか?」

「何もない!」

無表情で仕事に戻る陛下を訝しく思ったが
仕事を優先してくれるなら細かいことは気にしないとばかり李順は仕事を押し付けた。
今回の被害報告はかなり大きなものだったのでまた2週間程度は後宮に戻れないかもしれない。
さすがに今夜は後宮に戻って休んでもらおうかと李順は思っていたのだが
当の本人がそれを拒否し仕事に打ち込んだ。


そんなことは露知らず、夕鈴は自室に戻ってくると深いため息をついていた。

「今まで作ったお菓子、試作段階なのにこんな状態では陛下にあげられるわけないじゃない。
でも老師も浩大も美味しいって言ってくれたからそろそろ本番用に作っても大丈夫かしら。
そろそろお忙しいのも終わるって聞いたから、今夜か明日には戻るようだし。
寂しいなんて一言でも浩大に言っちゃったら陛下に伝わっちゃうかもしれないから
浩大にもそんなこと言えないし。結構カラ元気にしてるのって疲れるのね。」

そんな夕鈴に陛下がまたしばらく戻ってこられないことが伝えられた。
申し訳なさそうに伝える侍女に向かって、「仕方ないわ。お仕事ですから」と
努めて明るく答えた夕鈴だったが、その夜はまた眠れず涙を流すのだった。

こんなに長く離れていたことは本物になってから初めてだったが
いつもなら文や菓子などマメに送ってくれる陛下が今回ばかりは何もなく、
もしかしたら自分は嫌われたのかと益々落ち込んでいった。

一方で陛下も文を書こうと思ったものの、まったく寂しくないと言われた一言でどうしていいかわからなくなり、少しの間を見て後宮に戻ることも出来たが、それもなんとなく出来なくて結果的に何もできないままもうすぐ1か月近くが経とうとしていた。

そんな中、夕鈴が倒れたと連絡が入った。

慌てて後宮に戻ってきた陛下は憔悴しきった夕鈴を見て愕然とした。

(何で・・・元気だったんじゃ)

「浩大、どういうことだ」

「ごめん陛下。ちょっと痩せたかなーと思ってたんだけど
何でもないってお妃ちゃん言ってたし。ここ最近は陛下にあげる菓子を作るから
しばらくは日中は厨房にこもるって俺も顔合わせてなかったんだよね。」

「菓子?」

「うん。なんでも異国の風習でばれんたいんっていうのがあるんだって。
氾の嬢ちゃんから聞いたらしいんだけどさ。大事な人に贈り物をするっていうんで
珍しい果物とかもらってさ、陛下に美味しいお菓子を作るんだって言ってたよ。
初めて作るのもあるからいきなり渡せないし、味見してって言われてさ、結構頑張ってたんだよ。でもやっぱ陛下に会えなくて寂しかったみたい。」

「え・・・」

思いがけない言葉に陛下はびっくりしたと同時に会えなくても自分のことなんてあんまり考えてくれてなかったんだって思って文も送らずいじけてた自分を反省した。

「ごめんね、夕鈴。夜遅くなっても帰ってくればよかったね。」

寝不足から倒れた夕鈴の憔悴しきった寝顔を見て胸が締め付けられ、そっと口づけを落とした。

その時、身じろぎをして夕鈴が目を覚ました。

「・・・陛下?」

「うん」

「お仕事は?しばらく戻れなかったんじゃ」

「今は君の方が大事だよ。夜眠れなかったんだってね。」

「あ・・・すみません。ご迷惑をかけるつもりじゃなかったんです・・・」

そう俯く夕鈴の顎をすくい、また口づけをした。

「僕の方こそ、ごめんね。夕鈴は僕がいなくても元気だって思って
あまり必要とされてないのかって怖くなったんだ」

「私こそ。本物になった途端、いなくて寂しいなんてわがまま言ったらいけないと思って。
ごめんなさい・・・」

「寂しかった?」

「・・・はい。すごく寂しくて。夜目が覚めても陛下が横にいなくて怖くて・・・
でも陛下お忙しいのにそんなこと言うわけにはいかないと思って我慢してたら余計眠れなくなって・・ひっく」

そういうと今まで我慢していたせいか、
久しぶりに陛下の胸にすがって泣いてしまった。
ふとその時、花の香がした夕鈴は「?」と思い、胸元に忍ばせてあった匂い袋に気が付いた。

「これ・・・?」

「ああ、夕鈴が作ってくれたんでしょ。一度後宮に戻ってきたことがあってね。
その時に机にこれがあったから、これがあれば夕鈴に会えなくてもいつでも夕鈴を思い出せるかなと思ってもらっていったんだ」

「じゃあ・・・もしかして夜来てくれたんですか?
私夢だと思って・・・それでこんな夢を見るほど我儘になっちゃったんだって落ち込んで、
だからこんなことじゃ妃として失格だと思ったんです」

「どうして?妻が夫に会えなくて寂しいって当たり前のことでしょ。
それにそんなにも想ってくれてたんだってすごく嬉しいよ」

「陛下・・・」

その夜は抱きしめられたまま朝までぐっすり眠ることが出来て、
翌朝目覚めた時には頭の重さも消えていた。

陛下は相変わらず忙しかったが、どんなに遅くなっても後宮に戻ってきてくれるようになり、内心ハラハラと心配していた侍女たちも安心するようになった。


ただ一人、老師だけが
「だからさっさとラブラブせいって言ったじゃろうが」
と愚痴をこぼしていたらしい。


(終わり)

***********************************************

すごく長くなりました。
バレンタインが近いから甘いお話をと思ったのになぜかすれ違いになってしまいましたが
これがまるねこのクオリティということで・・・
スポンサーサイト

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する